窓の魚/西加奈子
むっず。
スローリーディングの大切さを痛感。
私はオチが気になってさっさと読んでしまうので。
この本は特に、さっさと読むのは向いてない。
たぶんじっくり言い回しに気を配って、この「猫」は何を表すのかとか考えないと、読んだ意味がない感じがする。
ハルナいいなあ。
ハルナ、私とはかけ離れた存在のはずなのに一番共感するわ。
ナツを妬むところに笑
トオヤマみたいな男の執着する気持ちはわかりそうで分らんけど。
僕がタバコ嫌いだからかな。
で、牡丹の女は何なの?
もういみわかんなーい
13歳からの世界征服/中田考
図書館で何の本を借りようか迷っているときに見つけて手に取った本。
まず表紙がかわいい。そして作者がイスラーム法学者とのことで、物珍しいので借りてきた。
なぜ人を殺してはいけないのですか?
→殺してもいい。ただし責任をとれるのなら
もし自分に子供ができたとき、「なぜ人を殺しちゃいけないの?」と聞かれたら、こう言いたいかも。
言いがちな、「周りの人が悲しむから」だと、たとえ周りの人が悲しむことは殺人に匹敵する悪だともとらえかねないし
「命はひとつだけだから」も、じゃあ残ったおかしが一つだけだったら食べちゃいけないのかとなりかねないし(?)
たしかに法律には「人を殺してはいけない」とは書いていなかった。
書いてあるのは、「人を殺したものは~の刑に値する」と、殺した場合に課されるバツが書いてあるだけ。
なんで書いていないんだろう?!
殺人も人権のうちなのか。
著者の中田さんいわく、「あなたが神を信じていないならばやっていけないことはない」と。
価値観なんて人それぞれだし、世の中的にいいことをしても悪いことをしても人生にリスクはつきものだから。
全体的にお悩みに、「悩んでも無駄です」「じゃあ行くな」のような、人生に期待しない?回答が多い。
私が最近殺人や傷害のニュースを見て感じる諦念と少し通じるものがある感じがする。
価値観は人ぞれぞれ違うから、殺して刑務所に行く方がよっぽどいい人生を歩めると思っている人がいてもおかしくないんだよなあ、と・・
あとしびれたのは、「大人がクソばっかり」という悩みに対して、「その通り。でも君たち子どもはそのクソよりもバカで無能です」って(笑)
こういう子供の擦れた悩みに対して、子供に歩み寄る人が多かった気がするから、こういう痛烈な返事が新鮮で刺激的で笑った。
確かに、確かにそうなんだよな。
そして、大人になればどうせ君もクソになるんだから、どうせなら大人になったらできる楽しいことを思い浮かべましょうって。例えば稼いだお金を自由に使える、とか。
そして、そんなにクソばっかりなら将来そのクソたちをどうやって利用するか考えましょうって。たしかに、いいアイデアだね。
中二病の子に聞かせたい。
てかふと思った。こういう子供の大人への擦れた悩みに対して、気が付かないうちに大人目線で受け取っていることに。
うわあああ、あたりまえか、もう25歳だから。
楽しくないのに勉強をする必要はありませんが、しないと面倒なことになる。っていう消去法でやる気をだしていく考え方もいいかもと思った。
あと。赤ちゃんは自分で何もできないから周りが助けてくれるように可愛く作られている、っていうのは聞いたことあったけど、老人もそうってあって、言われてみれば確かにと思った。
でも可愛くなれない権力と金を振りかざす老人は嫌われるね。
人間、かわいければどうにかなるらしい。
さくら/西加奈子
西加奈子さんの本は好き。
一番はきりこについて。
他にも、i、白いしるし、漁港の肉子ちゃん、ふくわらい、サムのことなどを読んだけど、読みやすいのに毎回新鮮味がある感じ。
さくらは図書館で借りた。
ずっと気になっていたのだ。サラバ!を借りようとしたが、上下あるのでとりあえず今回はさくらにした。
やっぱり本を読むと、登場人物の年代を振り返ると同時に自分も振り返ることになって、それがいいなあと思う。話を楽しみつつも自分自身とも向き合える感じ。
さくら、は犬の名前だった。
タイトルからはストーリーが全く予想できなかったけど、読み進めるうちに、家族の話だと分かった。
三人兄弟の真ん中が、主人公。
兄も妹も美形で人気者。妹は変わり者だけど。
①兄妹
こういういけてる兄妹は物語の中だとしてもまぶしい。
わたしが学生の時はこういうまぶしい存在って雲の上の存在だった気がする。
アプローチをしようとすら思わなかった。
主人公はいたって素朴とあるかれど、こういう勝ち組の兄弟がいるだけでうらやましいなあ。
お兄ちゃんは絵にかいたようなさわやかで性格のいいイケメンで
妹は超美人だけどいつもぼうっとしていて男に興味がない変わり者。
お兄ちゃんがなくなるのは序盤に明かされるけど、なんでなくなるのかは後半からうすうす感じ取れて、そして亡くなる。
さわやかイケメン人気者がこういう結末を迎えるって、学生時代は誰も夢にも思わないんだよね。
学生時代の存在感って圧倒的で、無意識のうちにこの人は一生そういうきらきらした世界で生きていくんだよなあとぼんやり思う。
でも当たり前に人生って何が起こるかわからなくて、お兄ちゃんみたいに雨の夜にコンビニに出かけてタクシーにはねられて下半身麻痺になること、あるんだよなあって。
当たり前のことだけど、忘れちゃうから。
きらきらしてる人って眩しくて羨ましくて、このひとはずっとそうなんだって思わないと。どこかで自分が傷つくきがするんだよね。
この人も人間なんだからこれから先何が起こるかわからないし、傷つくこともあるし、事故に合うこともある。って思いながら生きてると、その人がすごく幸せな顔をしているのを見たときに、「あれ?そんなことないじゃん、この人ずっと幸せなんじゃん、道の出来事に振り回されて損してるのってわたしらだけじゃん」って、落ち込むんだよね。
だったら、そういう人はずっと幸せな人間なんだ、ってある種の諦念を持っていた方が、心が楽になったりする・・ひねくれてるな
②頭がおかしい人
主人公と兄妹は小学生のころ、「フェラーリ」という公園に住み着いている、紙がぼさぼさで鉄パイプを振り回すやばい男を使ってチキンレースをしている。
おにいちゃんは下半身まひになって車いす生活になって初めて、「フェラーリ側の人間」になったことを思い知る。それは。子供たちを含めた周りの人間に、異質で触れがたくて、自分たちとは違う人間だと思われること。
小さい頃はフェラーリとは住む世界が違くて、フェラーリは頭がおかしい哀れな狂人だと思ってたけど、案外フェラーリ側には、ちょっとしたきっかけがあれば誰でも言ってしまうんだなと。
それに気づいてからお兄ちゃんが自殺するまでが短かったきがする。
当時自分がリーダーとして率いて、おもちゃとしていじっていたフェラーリに自分がなってしまったという絶望感かな。
小さいころからみんなのあこがれでいい意味で注目の的になっていたから、悪い意味で注目される絶望に耐え切れなかったのかな。
まあ誰だって、普通の人だって急に下半身まひになったりしたら絶望するとは思うけど・・落差がひどかったのかね。
③泣いたところ
後半までは涙は一つも出なかった。
泣いたのは、お兄ちゃんのお葬式で、おかまのサキコさんがお辞儀したまま動かず、そのまま泣いていたところ。
なんだか、自分の好きな人の息子が自殺をした、しかもその息子は生前自分を慕っていて恋の相談なんかものっていたって考えたら、サキコさん側に感情移入してしまった。
もしかしたら、一番共感できたのがその時のサキコさんだったのかもしれない。
逆にほかの登場人物にはあまり感情移入できなかった。
いとおしくて好きなキャラクターばかりなんだけど、自分とかけ離れすぎて。
学校で人気者でモテる学生、昔美人でもてはやされた母親って共感できないな。
自分とかけ離れすぎて、かな。
自分以外の人の人生を追体験できるのが読書のだいご味だと思うけれど、共感できないキャラクターが多いと、主人公目線というか第三者目線で見てしまうな。
当たり前のことかもしれないけど、なんか冷めた目で呆然と立ち尽くしてその光景を見ているような、そんな感覚かな。
④さくら
さくらが時々しゃべるように「」がついているところ、きりこについての猫ちゃんの表現と似ていて面白かった。
昔飼っていた犬を思い出した。もっと散歩に連れて行ってやればよかった。
なんか、彼のことを思い出すと後悔とか涙が出てくる。
もっとかまって愛してやらなくてごめんと。
最後、さくらが死んじゃうパターンがよぎったけれど、ちょっと笑えるオチでよかった。
西加奈子さんの本、登場人物が狂ってるの多いな。海外にルーツがある人も。
だから主人公目線で共感!っていうよりは。俯瞰で物語を楽しむ感覚の方が多いかも?
きりこについて、猿に会うはわりかし登場人物に共感できたけど。
なんか登場人物のエネルギーがすごいんだよね!!わたしは少し冷めてしまっているというか、諦めてしまっている(何を)から、そのパワーに圧倒されちゃって、物語の途中から取り残されて、おうおうおうどうなるんだ、どうするんだ?って立ち止まってただ観戦するだけになる、という感じかな。
ふくわらいとか白いしるしもそうだったな。
あのこは貴族/山内マリコ
ユーチューブで一瞬だけ出た映画の広告。
それが、あの子は貴族だった。
少しあらすじを見ただけで引き込まれて、絶対見たい!って思った。
でもまだ公開されてない。調べると、原作は小説だった。
メルカリに安く売りだされてたけど、早く読みたくて本屋に走り出して、買った。
もう本当に面白い。
あらすじから、ちょっと嫌な気分になるやつかもと思ったけど、そんなことなかった。
貧乏な庶民が、代々金持ちの家計の女の子に圧倒的な差を見せつけられて嫉妬に狂う、みたいなストーリーを想像してしまったけど、いい意味で予想を裏切られた。
華子は代々続く開業医の娘で生まれつき何不自由したことなくて・・
すべて貰い続けてきた人生だから、理想の結婚相手もそんな感じでゲットできると思い込んでいる箱入り娘。わたしとは無縁。かといって、全然嫌な感じはしない。
生まれつき何不自由ないのが当たり前だから、傲慢さも鼻にかける様子もまったくなくて、もともと備わっている人には嫌味すらないのかと感じた。
美紀にめちゃくちゃ共感してしまった。
田舎から出たくて受験勉強頑張って、上京してあこがれの都内私立大に入学して・・そしてきらっきらした都会育ちの同級生に書くの違いを見せつけられて、圧倒される感じが、わかりすぎる。そして、そのあとに陥る状況も・・少しだけ、似ている。
幸一郎みたいな男、、見たことあるようで見たことないな。
わたしが所属していたコミュニティにも大手商社に入ったり弁護士になるような人もちらほらいたけど、格が違うなと。
本を読みながら、自分の大学生活を振り返った。
上京して初めて、東京生まれ東京育ちの人たちと触れ合って、なにもかも違うなって、劣等感、疎外感をじわって感じる場面が数えきれないくらいあった。
実家が太い人の悪気のない無神経さとか。
そして、ちょいちょい25歳というワードが出てきた。
もう25歳。。って。
やばい。今のわたしの歳だから・・
なんだかぽわーんと取り残されてふわふわ時間が止まっているような不思議な1年だったのだが、もう25歳なんだ、わたし。怖すぎて白目剥きそうになった。
美紀の、幸一郎をあっさり切るところめちゃくちゃかっこよかった。
そして、心中天網島という女の義理を表した人形浄瑠璃の話にも、美紀と同じくグッと来た。
もともと割り切って付き合って、しかも10年もそんな感じで付き合ってるのもかっこよい。
この人の他の本も読みたいと思った。
ドーン/平野啓一郎
難しかったし長かったー。。
平野さんの小説、「空白を満たしなさい」「マチネの終わりに」はどちらも読みやすかったので、こちらの「ドーン」にも手を出してみたら、まあむずかった。
それでも、SFや宇宙が舞台の物語を敬遠しがち(自分の生活とあまりにかけ離れている気がして共感がしにくいと思って)なわたしでも面白いと思えた。
テーマは全然違うけど、教団Xを彷彿とさせた。なんでだろ。
たぶんドーンでは大統領演説、教団Xでは教祖の演説、どちらも一人が話す量が長くて1ページ以上にわたってつらつら語るシーンが多かったからかな。
それに、政治と宗教というわたしがあまり知識がない分野が大きなテーマ、ってところも共通点かな。
要約して、と言われたらなんというだろう。
正直ちゃんと理解できたかどうかも怪しい。
ある日本人宇宙飛行士が火星着陸という大木庵プロジェクトに成功し一躍時の人となる。大統領選が近づくとともに、そのプロジェクトにはあるミスがあり、そのミスに主人公が大きくかかわっていることがわかり、ゆくゆくは大統領選をも揺るがす事態へと発展していく・・的な?
省きすぎかしら。
気になった点
①明日人とリリアンの浮気
「浮気」という表現があっているのか。一般的には浮気と表現される行為を二人は行った。
でも、状況が特殊すぎて?場面が壮大すぎて?「浮気」という俗物的な単語がふさわしくないように感じてしまった。
だからなのか?妻の今日子も明日人を責めたりしない。
通常だったらだいぶショッキングな状況だけど今日子は責めない。
とても当たらい前のような気もするし、違和感も感じる。
浮気、それ自体よりも断然深刻な出来事があると、浮気の衝撃は緩和されるのかな。
②太陽が消失とAR製作者の死去のタイミング
彼ら、つながっていた?
話は違うけど、サーモグラフィでの人間の体温の完治によってARが言動を変化させるというアイデア面白いし、実現してほしい!実現可能なんだろうか?
カタカナの名前がたくさん出てきて、あれ。これ誰だっけ?こっちの副大統領は民主党なんだっけ?ってごちゃごちゃしてしまった。なのにせっかちで早く続きを読みたいからしっかり確認もせずさっさとよんでしまったせいか、理解できてる自信がない・・
ソルト・ピーナッツっていう名前が出るたびに腹が鳴った。
いい名前だなあ(笑)
インターステラーみたいに、2回3回読んだところで「ああ、そういうことか!こんなに素晴らしい話だったなんて!1回目の自分はなにも見てたんやもったいない!」と思いそうな気がしなくもない。宇宙の話という共通点もあるし()
ただ分厚いし1回目でさえ読むのに割とパワーを使ったから、2回読む気力は今はないなあ・・
読み終えたのは2日前なのに、すでに記憶があいまいだ。
アウトプットはすぐに行わなきゃ、どんどんこぼれ落ちて行ってしまうなあ。
夏の陰/岩井圭也
テーマが暗くて、絶対に「嫌な人間」が出てくる感じ満々で、その通りだったけれど、それ以上に面白くてあっという間に読んでしまった。
読んだきっかけは「読むべき本」でググってでてきたまとめサイトに載っていたからだ。最寄りの図書館で検索したらあったので、借りてきた。
表紙がかっこいい。剣道。
感じたこと
①経験することの重要性
わたしは小学生の高学年で1年間剣道をやっていた。
正直この経験が活用された?ためになった?経験ってそんなにない。
でも、この小説により入り込めたのは、剣道をやっていた経験のおかげもある。
剣友会の長の柴田さんの感じとか、わたしが習っていたところの師範と似ている雰囲気を思い浮かべた。
試合の雰囲気も鮮明に思い浮かんだ。
自分が手を出すまもなく相手に1本とられて、情けなくて恥ずかしくて、調子が悪いふりして首をひねるところとか、とてもよく想像できた。
剣道したことなかったとしても面白く読めたと思うけど、情景がより細かく想像できたから、剣道やっててよかったと思った。
経験したことの多さは、共感できる機会の多さだと感じた。
わたしは、1年だけだけれど剣道をやっていたことで、上手な人の試合の激しさや冬の稽古場の床の冷たさとか、手ぬぐいの巻き方とか、面が蒸されて臭う感じが思い浮かんだ。
経験ってだいじだなあ
新しいこと、趣味ふやしたりすることの重要性って、本や会話との共有言語が増えるから興味が持てるものが増えて、人生が楽しくなるってことなのかな?
本の内容とは全然関係ないけど、読み終わった直後に感じたのが↑の感想。
②主人公の父親
こんな暴力的な存在が一番身近にいるって恐ろしすぎる。
父親に反抗できない母親を責める気になれなかった主人公が、軽蔑するようになったっていうところがリアルだった。
行政書士試験に合格した母親が、「あんたを見てると父親おもいだすからもう二度と会いたくない」というシーンが、わかるんだけど、ん?となった。いやわかるんだけど。
あんな暴力的な男の血を引き継いでいる男、っていう点で息子とはいえ恐ろしいから。母親は離れて暮らしたがったんだと思う。でも半分は母親の血なんだよなって。
母親も自己肯定感が低いから、「半分は私の血が流れてるんだから父親とうり二つの人間になるわけない!」と強気にはなれなかったんだなと。
自己肯定感高かったらそもそも、暴力男と結婚しないか。
家族に理不尽な暴力をふるう人間が本当に理解できない。
でも、そういう人間の心理に興味がありすぎていろいろ調べてからは、納得はできないけれど頭ではこういうことなのかなって、少しは想像はできるようにはなった。
でも、やっぱりわからない。
暴力をふるうくせに、家族と一緒にいたがるところが理解しがたい。
うっとうしいから暴力をふるうわけじゃないんだよね、だってそうだったら一人になりたいはずだもん。
本の中では、外では自信ないから家では威張り散らしてるってあったけど、暴力をふるうことで家庭では価値のある存在だと思いたかったのかな?
ますます理解できない。
③被害者と加害者の闇
加害者の息子と被害者の息子の闇についての話で、どっちの目線からも語られるので、二人共の心の闇を知ることができたのがよかった。
読んでいる最中は、加害者の息子・岳の方に感情移入してしまった。
生まれ育った環境からして不遇だし、そのあとに自ら陰の道を進んでいる点など、道場する点が多くて・・
そして加害者の息子、って全く本人は関係ないのに疎ましがられるのが不条理すぎて。
でも読んでじっくり自分がもし被害者の子供の立場だったらと考えると、被害者の息子・和真により感情移入した。
もし母親が殺されて、加害者の家族がのうのうと生きてたら、許せないなって。
でも、子供も虐待されてたと知ったら、変わるけどなあ・・
キッチン/吉本ばなな
孤独が懐かしくてキラキラしてとても素晴らしいものに見えてしまった。
孤独は信じられないほどつらいのに喉から手が出るほど欲しくなった。
ということは自分は今孤独ではないのか。
みかげは祖母がしんで天涯孤独になってしまった。
そこを田辺親子に引き取られることになる。
みかげのすべてがうらやましい。
絶対死ぬほど悲しい思い辛い思いしたはずなのに、なんでかとにかくウラヤマシイ。
なんでだろう。
自分がださく思える・・
えりこさん
男性から女性になった人ってなぜこんなに言葉に説得力があるように感じるのか。
どこかで普通の人間じゃないと、自分とはとても遠い存在だと思っていて、それは人類を超越した、新しい別の生き物で、人間のことをとても客観的に見ることができるから、だと思ってるからかもしれない。
でも人間であることに変わりはないから、そんな特別な存在ではないはずなのだが、やはり神聖なものみ見える。
男性から女性になるという決意、覚悟に、人間以上の強さを感じるからか。
勝手に自分には想像もつかないような悲しく残酷な経験をして、自分にはとうに思いつかないような領域まで思考が発達している、というレッテルをはっているからだろうか。
自分が思う男にも女にも属さないのが超客観的な存在だからか。
えり子さんみたいに、美しくて強い人間、周りにいるだろうか。
でも、どこかにはいるのだろうか。
自分もああなりたい、というよりは、ああいう人に会って力をもらいたい。
自分がそうなる覚悟はない。
その時点で魅力に欠けるかな(笑)
楽してるな。
雄一
わたしとは無縁の青年だなあ。
かっこよくて優しくて、淋しい男。
こんな人に「見初められる」なんて、みかげいいなあ。シンデレラストーリー。
絶対そんな話じゃない(笑)バカ女の感想だ。
頭ではわかってるけどこんな感想が真っ先に頭をめぐるのは、わたしが非モテ女だからだろう。コンプレックスって怖いね。
でもこういうアンニュイな男、女は絶対好きだ。
もしかしたら本当に現代版(?)王子様かも・・。
みかげ
主人公のみかげって、きっととても魅力的なんだろう。
きっと、やさしい。
何故なら周りの人にめちゃくちゃ恵まれているから。
直接的に彼女の魅力を強く感じることはなかった、感じないようにしてるのかな、だって確実に嫉妬しているから。
天涯孤独って想像がつかない。
とても寂しくて辛いと思う。
でも同時に果てしなく自由だと思う。
読みながらずっとストレスを感じていた。
悪いばかりのストレスではなかったけれど。
とにかくみかげがうらやましくて仕方がない。
こんなに素敵な本を読んで、わたしが真っ先に、そして一番に感じたのは「羨望」。
今の私が満たされていないということか。
最近、ではない。わたしは思い出せる限りでは小学校低学年の時からずっと
他人がうらやましくて仕方がない!
そして自分の状況がいつだって間違っているように思える、そんな出来事がたくさんあった。
貧乏ではないし、愛されてた(と思う)のに、常に周りが正しくて自分はなにかずれている気がする、という事がたくさんあった!
何でそう思うようになったんだろう。
そういったことを思い出した。
そういった感情を思い出させてくれるから、読書っていいなあ。